八丈島における風
私は、時間があるときは、いつもフィールドで過ごしています。八丈島は、人と自然との距離がとても近く、私にとっても風というものが身近でした。
風は、強弱があり、向きも変わり、見ることも出来ませんし、匂いもありません。もしかしましたら、研究することは難しいかも知れません。
以前、八丈サイエンスクラブと富士中学校の自然科学部と合同発表会をしました。生徒さんの一人が、風によって校舎の踊り場に枯れ葉が集まる研究を発表されていました。
興味の内容は違いますが、八丈島の風に注目していて、親しみを心の中で思っていました。
風の研究とその概要説明
難しい課題とは思いますが、これからの八丈サイエンスクラブは、風の研究をすることにしました。
今回、八丈サイエンスクラブに参加されている方は、以前も書きましたが、科学的思考能力が高いです。そして、理解が早いだけでなく、次から次へとアイディアを創出する力もあります。
彼の能力におんぶにだっこでも良いのですが、彼の力をもっと発揮させるためには、どのような戦略を考えているかの概要を説明したほうが、もっと早く研究が進むと考えました。
そいういうわけで、今回、私たちは、どこに注目し、研究を進めるかを説明し、彼からも意見を伺いました。
風の研究を進める上での測定の問題点
私たちは、大学の研究室のように専門知識や高価な測定機器があるわけではありません。
手近にあるものを使って、ベストの条件で測定し、そこから得られる最適の結果を得て、そのうえで考察をしなければなりません。
今回は、風の研究ですので、
安定した風をどう得るか?
が課題です。
私の家から扇風機を持ってきました。
しかし、扇風機をどう使えば、安定した速さの風を得られるでしょうか?
実測しか答えは分かりません
彼は扇風機を触りながら、設置場所を変えながら、考え得る可能を模索していました。
扇風機の角度が変わるということは、風速が毎回同じ結果にならないのではないか・・・?
扇風機から生まれる風の速さを測定しました
この扇風機は3枚の羽を持っています。そして、カバーの中心構造から、中心の風は弱いはずです。
ということは、扇風機から生まれる風は、測定地点によって速さが違う可能性があります。そこで、彼は熱線式風速計を使って、実際に、風の速さを測定しました。
結果は下記のとおりでした。扇風機の設定は弱、距離は0 cmの場合です。
高さ(cm) | 風速(m/s) | |
0.0 | 0.0 | |
5.5 | 2.0 | |
7.5 | 2.9 | |
9.5 | 3.6 | |
10.5 | 3.2 |
扇風機に対して、測定場所の高さによって風速が違うことが明らかになりました。つまり、測定場所の高さ調整し、一定にしないと実験は出来ないということです。
風と野外の関係
私たちの研究がどこまで進むかは不明です。ですが、具体的なゴールの一例は彼に見せることは出来ます。
八丈島に住んでいる方は憶えていると思いますが、2021年10月1日に台風16号が八丈島を直撃しました。そのときの状況を神港つり具さんがTwitterで被害を発信されていました。
このツィートは私の記憶にも強く残っていました。そこで、百聞は一見にしかずということで、実際に現場を見に行ってきました。
神港つり具さんは、突然の訪問でしたが、親切に、当時の状況をお話してくださいました
今日は、本当に、ありがとうございました
帰りの車の中で、来週からの研究のお話をしました。神港つり具さんからの話、2人での話から、私たちの仮説が間違っていたことも解りました。
今後は、実験室内で、ベストの条件を設定し、風速の測定、その中で、出来るところと出来ないところを明らかにします。
その後、考え得る世界を実験室内で作って、その条件の変化に対しての風速の変化を測定します。
そして、最後は、地図から飛び出して、野外の地形と風の関係を考察できればと思っています。
何事も初めは上手くいきません。でも、それこそが研究です。
八丈サイエンスクラブは、ようやく、再開の第一歩を踏みました。
八丈サイエンスクラブは、八丈島の自然から不思議を抽出し、探究・研究をします。興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。見学も大歓迎です。
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