八丈サイエンスクラブは、「おもしろ」実験はしません

八丈サイエンスクラブ

昔は本、少し前はTV、今ではYouTubeから、さまざまな情報が手に入りますね。子供を対象とした数々の実験も。

簡単なものだとスライム作り、少し大掛かりになりますとペットボトルロケットなどが有名でしょうか?

私が八丈島に来てから、八丈サイエンスクラブでは、たくさんの子供たちと、そして、仕事ではさまざまな業種の大人たちと出会いました。

そして、

科学実験は、派手な終わりが見られるものでいい

と、みなさん口を揃えて言うことに、とても驚かされました。


科学への入り口としては、これらの「おもしろ実験」は価値があるのかもしれません。ただ、研究の世界にずっと生きてきた私からしますと、「どうしても物足りない」と思えてしまいます。

巷で見られるおもしろ実験は、すでに作り上げられたものです。手順も、結果も明らかになっています。

誰かが作った道のゴールが、すでに設定されているのです

このようなものは、研究の世界では追試といいます。もちろん、追試は大切です。でも、研究の世界では、新しいことではないので、価値はありません。

このことを知っているのにも関わらず、子供たちにおもしろ実験をさせるのは、私自身が不誠実と思いました。


ダンゴムシの迷路の有名な行動実験があります。右に曲がれば次は左、左に曲がれば次は右という交替性転向反応を見る実験です。

多くの場合、この行動を見るのがゴールですので、数回の実験で終わりです。

私は、子供たちに質問しました。

ダンゴムシの行動が、「右に曲がれば次は左、左に曲がれば次は右」と決まっていたら、野外ではどうなる?

行動が決まっているので、ダンゴムシは、待ち受けている食べる側に簡単に捕まるはず?

でも、八丈島には、ダンゴムシはどこにもいるよ

ということは、野外では、「右に曲がれば次は左、左に曲がれば次は右」ではない?

じゃ、実験で確かめてみよう

ということがきっかけで、子供たちは、ダンゴムシの「研究」を始めました。初めは追試、そのあとは、たくさんの種類の条件、迷路、繰り返し実験をしました。


みなさん、違いに気づいたでしょうか?

おもしろ実験では既知の決まったことをします。でも、この子供たちは自分で実験条件を探し出し、再現性を得るために実験していたことを。

前者は追試、後者は研究です。このとき、私は、大人(私)がゴールを設定しなければ、子供たちは、自分で道を作り、ゴールを作り、そこへ向かって進むことを子供たちから学びました。

この貴重な経験が、私の八丈サイエンスクラブの基になっています。

再開にあたって、八丈サイエンスクラブでは、おもしろ実験はしません。八丈サイエンスクラブでは、やるのは「研究」です。

ただ、本物の研究をしますと繰り返し実験が多くなります。本当につまらないです。道はいばらです。

しかし、自身が作ったゴールにたどりついたときは、「おもしろ実験」から得られるそれとは比べようもないくらいの燃えるような歓喜に包まれると思います。

子供たちが実際に行ったダンゴムシの交替性転向反応の追試。このあと、本格的な研究が始まりました。

八丈サイエンスクラブは、八丈島の自然から不思議を抽出し、探究・研究をします。興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。見学も大歓迎です。

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