今回も過去の八丈サイエンスクラブの振り返りのお話です。
ダンゴムシの迷路での交替性転向反応の行動は有名です。ところが、野外では、ダンゴムシは交替性転向反応をしません。
なんでだろう・・・?
どうして?
いや、私も知らないから・・・
え゛〜
そう、誰も知らないので、自分で調べるしかありません(笑)。ここからの子供たちの頑張りが面白かったので、みなさんに共有します。
ルール説明
初めに、実験にあたる注意点をしました。
これから、実験のために作業をします
鉛筆を使ったり、はさみを使ったり、カッターを使ったり、セロファンテープを使ったりしますね
使うときは、かならずお互いの周りを見てください
ちょっとしたことでも、不意打ちになりますと、大事故になります
お互いの視線を確認しながら作業をしてください
また、尖ったものを使わないときは、自分から離れたところに置いてください
私は元研究者です。30年も研究者をしていますと、事故に出会います。
その経験から学んだ現役時代に私が気をつけていたことを子供たちに説明しました。
迷路の形を変えてみる
子供たちの中には、デザインと工作の得意な子がいました。最初はノートに
こんな感じの迷路を作りたいのですが、いいですか?
と見せてくれました。
いいよ、何が起きるか分からないからね
色々な子供たちが新しい形の迷路を作り始めました。
私も止めません。もう、やりたい放題に子供たちに作らせました。
長い迷路、折れ曲がった迷路、箱のような迷路・・・。
迷路を複雑にする
デザインと工作の得意な子はもっと前に進みました。
先生、こんな感じの迷路を考えたんですけれども、作っていいですか?
それは、渦巻状の迷路でした。
ぐるぐる回ったら、ダンゴムシは、どこを歩いているか分からなくなって、最後は交替性転向反応を失敗するかも?
ものすごい仮説ですね。
大人では、簡単に作れそうな渦巻状の迷路。実際は大変でした。
彼は八丈サイエンスクラブの3回分の時間をかけて、渦巻状の迷路を完成させました。
迷路の触り心地を変える
やりたい放題にしていましたら、また、面白いことをする子も現れました。迷路のダンゴムシが歩くところにセロファンテープを貼ったのです。
形はスタンダードの迷路、違うのはセロファンテープが有るか無いかです。私たちにとってはちょっとした触り心地の変化です。
ダンゴムシは体が小さいので、もしかしたら触り心地が大きく違うと思うかも・・・?
とのことでした。
迷路に何か足してみる
私が小学生時代、友達には、工作が得意な子、不得意な子がいました。学校の勉強でも、体育でも、これはどんなことにも当てはまりますね。
不得意であっても、様々な角度から見る視点があれば、研究では活躍できます。
しばらく実験をしていますと、スタンダードの迷路にジュースやアルコールなどを湿らせたティッシュ片を置く子供が現れました。
匂いで行動が変わるかも?
他の子供たちは、迷路を暗闇に入れたり、逆に光を当てたり、迷路の色を変えたりと、大人の私では思いつかなかった迷路、実験を提案してきました。
八丈サイエンスクラブの子供たちは、「オカダンゴムシの交替性転向反応以外の行動を誘発する条件の探索」という論文をコンテストに出しました。
そして、この論文には書かれていない、これほどの量の実験を子供たちは水面下でしていました。
もちろん、研究ですので、上手くいくこと、上手くいかないことがありました。
しかし、子供たちがこれだけ思考・試行をしますと、膨大な研究のノウハウと子供たち自身への刺激が蓄積していきました。
正直に話しますと、私は子供たちの科学者としての成長に着いていくので精一杯でした
でも、子供たちと一緒に研究をして、たくさんの驚きと楽しみのある時間でした
八丈サイエンスクラブは、八丈島の自然から不思議を抽出し、探究・研究をします。興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。見学も大歓迎です。
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